失敗しない住み替え方法って?売り先行、買い先行や、住み替えローンの注意点

2022.11.14
失敗しない住み替え方法って?売り先行、買い先行や、住み替えローンの注意点

今の生活スタイルに合った新しい家で快適な暮らしを実現したい、住宅ローンが払えず我が家を手放さないといけない、子どもたちが独立し、夫婦だけで広すぎるので引っ越したい、家が古くなってきた…

様々な理由がありますが、「住み替えが必要」となる場合があります。住み替えする場合に気になるのが、不動産売却の流れやお金についてです。

「旧居をスムーズに売却できるだろうか…」「住み替え時のローンはどう手続きすれば良いのか?」「新居の購入費はいくらくらい?どうすればいい?」など、気になるポイントも多いはずです。

住み替えを成功させるために、知っておきたい住み替えの手順や費用、注意点などを解説します。

返済中の住宅ローンや、新たに利用する住み替えローンなど、お金の疑問点も解消し失敗しないようにしていきましょう。

住み替えを考える理由や、実際に住み替える際検討した方が良いことは?

生活スタイルの変化、懐事情の変化などが「住み替え」を考えるタイミングです。

賃貸→賃貸、賃貸→マイホーム、マイホーム→新居、マイホーム→賃貸など複数のパターンがあります。

今の住まいを手放して、新たな住まいへと移る住み替え。手続きや引っ越しなど、負担は決して少なくありません。

とはいえ、以下のような環境においては、「住み替え」をイメージする方が多いのではないでしょうか。

  • 「ライフステージが変化」して、必要な住まいの形が変わってきた
  • 「結婚や出産」などで家族の人数が増えて、家が手狭になった
  • 「子どもの進学や独立」で家族の人数が減って、家が手広くなった
  • 「転職や転勤」で勤務地が変わり、便が悪くなった
  • 「家の老朽化」で、家の管理が難しくなってきた
  • 「より良い場所へ」引っ越したいと思うようになった(住環境の悪化など)
  • 「家が老朽化」してきた
  • 「介護」が必要になった(自分、親など)
  • 「老後」の生活準備として
  • 「定年退職」をして、より綺麗で便の良い家に住みたいと思った
  • 「実家を相続」したので、そこに住み続けたい

多少手間はかかっても、住まいを変えることで生活全体の質を向上させられるでしょう。

また、住宅ローンを払っている時に、「もう払えない…」となってしまう場合も、住み替えを検討しなければなりません。(詳しく後述します)

また住み替えを考える際には、以下の視点で検討するのがおすすめです。

  • マイホームを取得してからの年数
  • 物件の築年数
  • 住宅ローンの金利
  • 土地や物件の価格

取得から5年以内のマイホームを手放そうとすると、売却益は短期譲渡所得としてみなされます。5年以上の場合と比較して、2倍程度も高い税率を掛けられてしまうのです。

とはいえ、築10年を過ぎた頃から、物件そのものの価値は一気に下落しがちです。より有利な条件で住み替えしたいなら、「入手(新築)から5年以上10年以内」という時期が、一つのタイミングだと言えるでしょう。

また、年齢を重ねれば、家はどんどん老朽化していきます。年老いてからの「住み替え」は体力も労力も財力も心配…老後を見据えて、定年を機に住み替えするのもおすすめです。

住宅ローン金利が安ければ、買い替えのためのローン負担も少なくなります。近年、住宅ローン金利はかなりの低水準で推移しています。従来よりも低い金利で契約できる可能性が高く、そうした意味では住み替えのチャンスと言えるでしょう。

スムーズな住み替えは、自宅の価値を見極めるところから!

旧居を売却して新居への住み替えを検討する場合、「まず何からすれば良いのかわからない…」と悩む方は多いものです。

売却から購入に向けた全体的な流れを把握した上で、

  • 自宅の売り相場を知る
  • 自宅のような不動産の売却を得意とする不動産屋さんに出会う

この2つが、その後の住み替え成功への第一歩です。

下記のような不動産売却の一括査定依頼サイトを使えば、無料でいつでも簡単に自宅の価値を調べておくことができます。入力自体1分くらいで完了するのでとっても手軽です。

リビンマッチ
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住み替えのパターンを知ろう!売却と購入のタイミングが鍵

「住み替えは難しい」と言われる理由は、旧居の売却と新居の購入の、両方を進めていかなければならないからです。

以下の主に3つの手法があることを頭に入れておきましょう。

  • 売り先行:旧居の「売却」を先行するタイプ
  • 買い先行:新居の「購入」を先行するタイプ
  • 売り買い同時:「売却」と「購入」を同時に進めるタイプ

住み替えの際に重要になるのが、この「タイミング」です。売り先行か、買いり先行か、それとも売り買い同時なのかで、それぞれメリット・デメリットがあり、費用面でも色々な影響があります。

信頼できる不動産会社と相談の上、どのパターンで進めていくか、資金計画はどうするかなど慎重に決めていくことが大事です。

それぞれの特徴は以下でまとめます。

売り先行とは?

売却先行とは、「まず旧居の売却活動をスタートして、売ってから、もしくはある程度目途が立ったタイミングで、新居の購入活動をスタートする」という住み替え方法です。

【売り先行の住み替えの流れ】

  1. 現在の住まいの売却活動をスタートする(査定・媒介契約・売却活動等)
  2. 売却価格の目安がわかる
  3. 不動産会社とやりとりをして、売却価格の目途を立てる
  4. 旧居の売却価格をもとに、新居の購入計画を立てる
  5. 新居探しと旧居売買契約を同時進行で進める
  6. 旧居売買契約により、手付金を受領
  7. 旧居の売却価格が確定したタイミングで、新居の売買契約を結ぶ
  8. 新居の手付金を支払う
  9. 旧居の引き渡しと、新居の住宅ローン契約
  10. 旧居から借り住まいに引越し
  11. 新居が完成したら、ローン実行と残金清算、引き渡し
  12. 借り住まいから新居への引っ越し
【売り先行のメリット】
「売却で得られる資金をもとに、新居の購入計画を進めていける」「売却資金を、新居購入資金に充てられる」という点です。

売却価格が確定した後に新居の売買契約を結ぶため、金銭面での不安が生じにくいでしょう。売却で得たお金を、新居の頭金や諸費用に回すこと可能なため、手持ちのお金が出ていきにくく、また、旧居を売り急ぎ、損をするリスクも低くなります。

基本的には、「売れたお金を元に新居を購入する」という方法なので、安全性が高い取引手法と言えるでしょう。実際に、住み替えを行う方の中には、売却先行で動く方が多いようです。

ではどんな点がリスクああるのでしょうか?

【売り先行のデメリット】
「新居購入時期が狭まってしまい、焦ってしまう」「仮住まいの賃貸費用、引っ越し費用など余分な費用がかかる」「という点です。

旧居の引き渡しからすぐに新居へ入居できれば良いのですが、タイミングがずれると、仮住まい用の費用が発生します。引っ越し回数も2回となり、負担が増えてしまいます。

旧居が売れなければ、新居の購入に向けて動くことができないため、「いいな」と思う物件を見つけても、見送らざるを得ないことも…。

そうならないために利用したいものの一つが、「不動産一括査定」です。複数の不動産屋さんで査定はしましたか?

相場感がズレていたり、あなたが売ろうとしているような不動産売却を得意とする別の不動産屋が見つかったりするかもしれません!

一般的な不動産売却ではなく、不動産会社に不動産買取してもらうことで、旧居の売却活動を計画的に進められる可能性も。

「売却を先行したいが、できるだけ早く住み替えしたい!」という場合は、買取についても検討してみてください。

メリット・デメリットを考慮すると、売り先行に向いているのは、「売却代金をローン残債や新居購入費用に充てたい」と思っている方です。

【売却活動を先行するのに向いている方々】

  • 住み替えを検討しているが、「旧居が売れなかったら…」と不安な方
  • 手持ちの資金をできるだけ減らしたくない方
  • 資金計画をしっかりと立てたい方(購入資金にいくら充てられるか分かる)
  • 売却活動を焦って進めたくない、売り急ぎたくない方
  • 納得いく価格で今の家を売りたい方
  • 実家が近い、仮住まい先の確保がある方

買い先行とは?

一方で買い先行とは、新居の購入を先行して進めていくタイプの住み替え方法です。

「新居を見つけるための活動をスタートし、それに合わせる形で旧居の売却活動を進めていく」という手順となります。

【買い先行の住み替えの流れ】

  1. 新居購入のための資金計画を立てる
  2. 新居を探し始める
  3. 購入物件にある程度目途が立った段階で、旧居の売却活動をスタート(査定や媒介契約等)
  4. 新居の売買契約を結ぶ
  5. 新居の手付金を支払う
  6. 新居の住宅ローンを契約し、残金を支払う
  7. 新居の引き渡しを受け、旧居から引っ越す
  8. 旧居の売買契約を結ぶ
  9. 旧居の手付金を受け取る
  10. 残金を受け取り、旧居を引き渡す

購入先行で進めていく場合、新居の購入タイミングで悩む必要はありません。「この物件が欲しい!」と思ったタイミングで、話を進めていけるでしょう。

【買い先行のメリット】
気に入った物件が見つかったタイミングで旧居の売却手続きをスタートするため、新居に妥協する必要がないというメリットがあります。

また旧居から直接新居へと引越しするため、仮住まいを用意する必要がありません。

一方で、旧居を売却して得たお金を、新居の購入資金に充てることはできません。新居を購入するための費用は、いったん手持ち資金から出す必要があります。

旧居のローンが残っている場合、2本のローンをダブルで支払わなければならない可能性も。ローンの契約・支払いともに、相当な経済的余裕がなければ、実践するのは難しいと言えるでしょう。

【買い先行のデメリット】
新居の購入費用に、旧居の売却費用を充てることができません。一時的とはいえ、売却が決まるまでの期間の金銭的な負担が、大きくなります。

ローンが残っている場合は、元の家が売れるまでは2つのローンを組むか(ダブルローン・二重ローン)もしくは、住み替えローン(買い替えローン)で対応することになりますが、いずれにせよ返済金額がかなり高くなるため、旧家の売却が遅くなればなるほど、資金負担は大きくなってしまいます。

思うような価格で売却できなかった場合、住み替えプラン全体が狂ってしまう恐れもあります。

メリット・デメリットを考慮すると、買い先行に向いているのは、「すでに旧居ローンを完済している人」や、「新居購入資金に心配がない方」です。

【新居購入活動を先行するのに向いている方々】

  • 今の家がいくらで売れても、新しい家を買う費用面で心配がない方
  • 住宅ローンが残っていない、残っていても今の家を売却すればなくなる方
  • どうしても購入したい新居がある、新居選びを妥協したくない
  • 新居購入の目処がある程度立っている
  • 旧居が素早く売れる見込みがある
  • 仮住まいをしたくない
  • 新居への入居日までに旧家を売りたい場合、値下げをしないといけなくなる可能性が…

売りと買いを同時に進める方法は?

売り先行と買い先行、両者の良いところ取りを目指すなら、旧居売却と新居購入手続きを、同時に進めていきましょう。

旧居と新居、それぞれの売買契約を同日(もしくは数日の誤差)で行うことで、旧居から新居へと直接移れる可能性があります。

旧居の売却益でローン残債が完済できない場合でも、同時進行で手続きを進めていく場合、住み替えローンが利用できます。

住み替えローンについては後述します。

売り買い同時進行型で住み替えプランを進めていく場合、不動産会社の協力が必須です。しっかりとスケジュールを立て、確実に手続きを進めていきましょう。

住み替えを検討し始めたら、まずはどのタイプで話を進めていきたいか、検討してみてください。どれを選ぶのかによって、最初にやるべきことが変わってきます。

戸建て、マンションなど住み替え先の種類でもタイミングは異なる

先に売るか?先に買うか?は、次に住む新居の種類によっても異なります。

  • 建売戸建てへ住み替え
  • マンションへ住み替え
  • 中古戸建てへ住み替え
  • 注文住宅へ住み替え

建売戸建てへ住み替えの場合、買い先行が一般的

「この家を買いたい!」という物件が建売住宅で建設中の場合、先に購入を決めた方が引き渡しまでの期間が短いというメリットがあります。

旧居の売却活動から売買契約が決まるまで早くて3ヶ月程度と言われていますが、それより早く購入が決まるというパターンは多くあるようです。

注意点として、新居に引越してから旧居の売却すると二重ローンになる恐れがあります。二重ローンを防ぐためにも、同日決済をおすすめします。

マンションへ住み替えの場合、買い先行がおすすめ

新築、中古マンション問わず、新居を先に買う方が良いでしょう。建売戸建てへの住み替え同様、先に新居を決めて、旧居の売却を目指しましょう。

仮住まいの費用負担や二重ローンを避けるために、同日決済をおすすめします。

中古戸建てへ住み替えの場合、新築物件よりスムーズに住み替え可能

中古物件への住み替えだと、売り主と買主のタイミングさえ合えば時間をかけずにスムーズに住み替えができます。

同日決済を目標に動けば、仮住まい費用不要、二重ローンも避けることができます。

住み替えするために必要な費用の内訳と相場

住み替え時に必要となる費用には、大きく分けて2種類あります。旧居売却に必要な費用と、新居購入に必要な費用、それぞれの相場を一覧表でまとめました。

【旧居売却に必要な費用】

費用内訳 内容 目安の金額
一括返済手数料 住宅ローン残債を一括返済する
ため、金融機関に支払う手数料
0~20,000円(※金融機関によって異なる)
印紙税 売買契約書に使う印紙の購入費用 5,000円~(売却価格によって変動)
※令和4年3月31日までは軽減税率適用
抵当権抹消費用 ローン契約時に設定した
抵当権を抹消するための費用
3,000円~4,000円程度
司法書士報酬 抵当権抹消登記を司法書士に
依頼した場合の報酬
15,000円~20,000円程度
仲介手数料 売買契約が結ばれた際に、
不動産会社に支払う費用
(売却額×3%)+6万円+消費税
※ただしこちらは上限額
所得税・住民税 不動産売却によって譲与所得が
生じた場合に納める税金
保有期間が5年以下
  →譲渡所得の39.63%
保有期間が5年超
  →譲渡所得の20.315%
その他費用 測量代や引っ越し代等 測量代 → 30万円~80万円
引っ越し代 → 10万円~20万円

【新居購入に必要な費用】

費用内訳 内容 目安の金額
物件購入費用 新居を購入するための費用 中古住宅なら2,000万円程度~
新築住宅なら4,000万程度~
(※地域・条件によって異なる)
仲介手数料 中古住宅を購入する際に、
不動産屋に支払う手数料
(売却額×3%)+6万円+消費税
※ただしこちらは上限額
印紙代 売買契約書に使う
印紙の購入費用
5,000円~(売却価格によって変動)
※令和4年3月31日までは軽減税率適用
住宅ローン関連諸費用 住宅ローンを組む際の、
融資事務手数料や保証料
融資事務手数料 → 3~5万円程度
住宅ローン保証料 → 融資額の2%程度
(※金融機関によって異なる)
保険料 火災保険料や地震保険料、
団体信用生命保険料など
※契約内容によって異なる
登録免許税 不動産登記で、所有権を
登録する際に支払う税金
不動産の固定資産税評価額×税率
(※登記の種類により税率は変動する)
不動産取得税 不動産を取得した際に
支払う税金
不動産の固定資産税評価額✕税率3%
(※2024年3月31日までは軽減税率が適用
固定資産税 不動産の所有者に課せられ
る税金で、不動産売買時に
は売主と買主で折半する
※物件によって異なる
その他費用 引っ越し代や家具購入費等 引っ越し代 → 10万円~20万円

新居購入時には、どういった物件タイプを選択するのかによって、負担が大きく異なってきます。予算と満足度、双方のバランスを意識して選択しましょう。

住み替えで失敗しないためのポイントは「住宅ローン」

一般的な不動産売買よりも、手続きが複雑になりがちな住み替え。失敗してしまう方も、決して少なくありません。成功するためのポイントは、「住宅ローン」です。

旧居を売却するためには、住宅ローンを完済する必要があります。

住宅ローン返済中の物件には、金融機関が抵当権を設定しています。抵当権が設定された物件は、購入者にとって非常にリスクが大きいもの。売却難易度は、一気に上昇してしまいます。

理想は、「住宅ローン残債以上の価格で売却する」という状態です。こちらをアンダーローンと言います。

反対に「売却価格が住宅ローン残債を下回る場合」をオーバーローンと言いますが、こちらの場合でも、手持ち資金をプラスしてローンを完済できれば旧居売却が可能となります。

ただしこの場合、不動産売買に関する手数料+住宅ローン完済分の手持ち資金を用意する必要があり、金銭的に余裕がなくなってしまいがちです。

オーバーローンの場合は、特に入念に計画を立てる必要があるでしょう。

手持ち資金に余裕がなくても住み替えを実現するための3つの方法

手持ち資金に余裕はないが、住み替えしたい…!このような場合には、以下の3つの方法を検討してみてください。

  • 安定収入あり
  • 大きな病気を特にしていない、持病もない

こんな状態であれば、60代でも住宅ローンを利用できます(申し込み時:70歳未満・完済時:80歳未満 ※金融機関により異なる)」が、一般的には色々な制限があります。

また、返済期間が短くなる分、借入できる額も少ないです。

1.住み替えローンを利用しよう

オーバーローンで悩んでいる方が、まず検討したいのが住み替えローンの利用についてです。買い替えローンという名前でも知られています。

住み替えローンとは?
旧居で残ったローン残債分を、新居分のローンに上乗せして契約するローン。旧居のローン清算のために、手持ち資金を減らす必要がない点がメリット。

「旧居の売却価格が思ったほど高く売れなさそうだ…」という場合でも、住み替えが可能になる便利なローンです。

売却価格がローン残高よりも高かった場合は、そのお金でいったん旧居ローンを清算し、改めて新居用ローンを契約すればOKです。

住み替えローンの特徴から、利用できるのは「旧居のローン残高が売却価格を上回る人」のみです。「売却でローンを清算できなくても、住み替えしたい」という人を応援するのが、住み替えローンの目的と言えるでしょう。

例えば、1,500万円のローン残債がある自宅を売りに出し、3,000万円の新居を購入したいと思ったとき、マイホームが1,500万円で売れれば、問題はありません。

「1,000万円にしかならなかった…」という場合に利用できるのが住み替えローンで、残った500万円分を、新居の3,000万円にプラスして、総額3,500万円分のローンを組めます。

こちらを利用した場合のお金の流れは、以下のようになります。

【旧居売却額例】 … 1,000万円
旧居住宅ローン残債 … 1,500万円    → 500万円足りない

【新居購入額例】 … 3,000万円

→新居用ローン3,000万円に旧居ローン残債分の500万円をプラスして、新たな住宅ローンを3,500万円で契約する

住み替えローンを利用する際の注意点は、以下の通りです。

  • 旧居売却と新居購入の決済を同日に行うこと
  • 一般的な住宅ローンよりも、審査が厳しくなること
  • 一般的な住宅ローンよりも、金利が高くなること

たとえば、過去に延滞の履歴がある場合、審査を通過するのは非常に難しくなってしまうでしょう。誰でも利用できるとは、限らないのが現実です。

また、審査に通過したからといって、油断は禁物です。

住み替えローンを利用する場合は、ローン返済額が大幅にアップし過ぎないよう注意しましょう。オーバーローン分も含め、無理のない範囲で借入をしてください。

住み替えローンを利用すれば、ダブルローン(二重ローン)を回避できます。買い替え中の金銭的負担を軽減できるというメリットがあります。

住み替えローンを利用するメリット・デメリット

基本的に、ローン残債がある物件を売却することはできません。

しかし、住み替えローンの利用によって、旧居売却と新居購入の両方が可能となります!この点が、最大のメリットだと言えるでしょう。

また、住み替え時に預貯金からの持ち出しが少なくなる点についても、「助かる」と感じる方が多いのではないでしょうか。

一方で、住み替えローンの利用にはデメリットもあります。ローンの利用に合わせて新居の購入スケジュールを組み立てていくため、どうしても余裕がなくなってしまいがちです。

住み替えローンを利用するならまずは売却査定から!

住み替えローンの利用を希望するなら、まずはマイホームの売却査定からスタートしましょう。「そもそも自分は住み替えローンを利用できるのか?」という点を、はっきりさせられます。

売却査定は、ネット上で簡単にできる、無料の不動産一括査定サービスを利用して行うのがおすすめ。複数の不動産会社から一度に査定結果を得られるので、非常に効率的です。

査定結果をもらったら、以下のような情報も参考にしながら、契約する不動産会社を決定します。

  • 似た条件の物件の売却実績
  • 査定金額の根拠

不動産会社が出してくれる査定結果は、あくまでも「これくらいで売れるのではないか?」という目安の金額です。住み替えローンの利用を検討する場合、できるだけ正確な査定結果が知りたいところ。

根拠や実績を示してくれる不動産会社であれば、査定結果と実際の売却価格が近くなると予想できます。その後の手続きも、スムーズに進めていけるでしょう。

査定結果から「住み替えローンを利用するだろう」という目途が立ったら、旧居の住宅ローンを組んでいる金融機関に、「住み替えローンの利用を検討している」旨を伝えておきます。

  • いくらぐらいまで借りられるか?
  • 金利はどうなるのか?
  • 総返済額はどれぐらいになるのか?

金融機関と相談しながら、これらのポイントを明らかにしておきましょう。

また住み替えローンを利用するためには、「旧居用住宅ローンの一括返済日」と「新居用ローン実行日」を同じにする必要があります。不動産会社の協力が必要不可欠なので、不動産会社と契約する際にも、忘れずに伝えておきましょう。

住み替えローンを利用する場合の注意点3つ

住み替えローンを利用する際には、いくつか注意したいポイントもあります。3つのポイントを紹介するので、こちらも参考にしてみてください。

借り過ぎないこと
住み替えローンを利用すれば、より幅広い人がマイホームの住み替えを検討できるように。ただし、借入金額が大きくなれば、その後の返済が難しくなってしまいます。

新居の価値を大きく上回るような住み替えローンを組んでしまうと、将来的に「新居を売却してもローン残高を清算できない!」という状況に陥りがちです。

「借りられる金額」はもちろん大切ですが、「無理なく返済できる金額」に目を向けて、借入希望額を決定するようにしてください。

利用できる金融機関が限られること
住み替えローンを扱う金融機関は、一般的な住宅ローンを扱う金融機関よりも少なくなります。まずはどの金融機関を利用できるのか、リサーチしましょう。

また住み替えローンの契約について、「利用上限金額」や「契約者の年収」に、細かな条件が設定されているケースも。

自分自身の条件で、利用できる住み替えローンを探しだす必要があります。

審査が厳しくなりがちであること

住み替えローンを組んだ場合、旧居のローンよりも返済金額が多くなるケースも珍しくありません。

ローンを組むためには、各金融機関の審査を通る必要がありますが、住み替えローンの場合、審査内容も厳しくなりがちです。

「誰でも利用できるわけではない」という点を、頭に入れておきましょう。

2.つなぎ融資を利用しよう

つなぎ融資とは、住宅ローン実行までに必要となる、各種諸費用をまかなう目的のローンです。つなぎ融資を利用すれば、旧居が売れる前でも、新居購入費用を準備できます。

手持ち資金が少なくても、買い先行スタイルを取ることも可能になります。「我が家は購入先行で話を進めていきたいけれど、途中の資金が足りない…」という方向けの融資となります。

つなぎ融資を利用した場合、返済は、売却時に得た資金でまとめて行われます。

下記のようなデメリットがあるため、冷静に判断することがとても大事になります。利用するかどうかは慎重に決定しましょう。

  • 一般的な住宅ローンよりも金利が高い
  • 返済する(旧居が売れる)まで利子が発生する
  • つなぎ融資用の手数料や保証料がかかる
  • 借入期間が限られている(融資期限は、半年~1年以内が一般的)
  • ※この間に売却できなければ、旧居が競売にかけられてしまうリスクが!

つなぎ融資を利用する場合、旧居をより確実に売却することが重要です。地元に強い不動産会社に依頼すれば、話をスムーズに進められる可能性が高いです。

また、仲介でなかなか買い手がつかないときには、買取についても検討しましょう。仲介よりも売却価格は下がりますが、不動産会社が直接買ってくれる分、手続きをスピーディーに進めていけます。

3.ダブルローンを検討しよう

ダブルローンとは、旧居のローンを返済しながら、新たに新居用のローンを組む方法のこと。旧居が売却できれば、その残債で一括返済する仕組みです。

旧居の売却が完了するまでの一時的なこととはいえ、2つの住宅ローンを同時に返済するのは、決して簡単ではありません。当然、審査に通過するのは難しく、安定した経済力や返済能力を求められます。

ダブルローンを利用する場合、旧居売却時に、余裕を持って残債を一括返済できるかどうかが鍵となります。旧居の不動産査定も活用しつつ、資金計画を立ててみてください。

他にも、

  • 親子で同時返済していく「ペアローン」
  • 住宅ローンの返済を子どもに引き継いでもらう「親子ローン」

こういった方法も存在します。

返済が厳しい場合の住み替えなら「任意売却」の検討を

住み替えを検討する場合、「現在の住宅ローン返済が厳しいため、旧居を手放して返済負担を減らしたい…」と思うケースもあるでしょう。

この場合に検討したいのが、任意売却についてです。

任意売却とは?
住宅ローンの返済が困難になってしまった場合に、金融機関の了承を得て、自宅を売却する方法。市場価格に近い値で自宅を売却できるため、住宅ローンを完済しやすい。残債を下回る価格で売却すること。残ったローン残高分は、自宅売却後、無理のない範囲で支払っていく。

住宅ローンの返済が滞れば、自宅は競売にかけられてしまいます。競売にかけられた場合、一般的な価格よりも安く買い叩かれてしまうでしょう。

こうした事態を避けるための方法として、活用したいのが任意売却です。

任意売却をするためには、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 住宅ローンを滞納している
  • 金融機関が合意している
  • 売却活動のための期間が十分である
任意売却が認められるかどうかは、過去のローン返済の状況や、契約者の支払い能力によって変わってきます。まずは金融機関に相談してみましょう。

任意売却を検討する場合、実績豊富な不動産会社を選択しましょう。

住宅ローン支払いが困難で住み替えを検討するため、住宅ローンを利用するのは難しく、新居を購入するのはまずできないと考えましょう。自宅を任意売却し、実家に戻ったり負担の少ない賃貸住宅を契約し、生活の立て直しを図るケースが一般的です。

一時的な住み替えには「賃貸に出す」のがおすすめ

転勤や異動などで、一時的に住まいを離れる場合、売却ではなく賃貸活用を検討するのがおすすめです。空いた自宅を貸し出して、賃貸収入を得ましょう。

マイホームを維持するための諸費用には、

  • 住宅ローン返済費用
  • 固定資産税
  • 維持、管理費用

などが挙げられます。諸費用以上の家賃で貸し出せる場合、ぜひ積極的に検討してみてください。

契約している住宅ローンによっては、「人に貸す」ことを認めていない可能性も。契約条件を確認の上、金融機関に対して、早めに相談するのがおすすめです。

家を相続した場合の住み替えは広い視野で検討を

相続によって家や土地を受け継いだ場合、以下のような住み替えパターンが考えられます。

  • 相続した家に、そのまま引っ越す
  • 相続した家をリフォームして引っ越す
  • 相続した家を売却し、別の住まいに引っ越す

相続した家で暮らす場合、旧居の売却が必要となります。相続した家のリフォームが必要かどうかについても、家族で検討してみましょう。

一方で、相続した家に住み替えしない場合、できるだけ早く売却するのがおすすめです。空き家のまま放置すれば、物件が劣化し、特定空き家として指定されてしまうリスクもあります。

特定空き家に指定された場合、宅地の課税標準の特例が適用されなくなってしまいます。

宅地の課税標準の特例とは、「人が暮らす住宅がある土地は、固定資産税が大幅に減税される」という特例のこと。相続した家を放置した結果、税金が跳ね上がることにもなりかねないので、十分に注意してください。

老後の住み替えも臨機応変に対応しよう

老後の住み替えでは、資金面で不安を抱えてしまいがちです。不安を解消するためには、以下のような方式を検討してみてください。

  • 住まいのダウンサイジング(コンパクトマンションへの住み替え)
  • シニア向けの住宅への入居(賃貸もしくは分譲)

高齢化の影響に伴って、このような住み替えのニーズは上昇しています。予算に合わせて、適度な物件・サービスを検討してみてはいかがでしょうか。

また住み替えを考えている理由が資金面であれば、以下のような方法を取ることで、住み替えする必要がなくなる可能性もあります。

リースバック
所有している自宅をいったん売却し、買主との間にあらためて賃借契約を結ぶ。まとまった金額が手に入り、売却後も同じ家に住み続けられるというメリットがある。
リバースモーゲージ
自宅に住み続けながら、その物件を担保に、お金を借りられる仕組み。借りたお金は、老後の生活資金として活用できる。契約人の死亡など、契約が終了した段階で物件が売却され、借入金と利息の返済が行われる。

どちらも、「今の家に住み続けながら、ある程度の資金を得られる方法」として人気を集めています。利用する場合は、メリット・デメリットを慎重に検討しましょう。

また、以下のような方法も、理想の住まいを実現するための方法です。

  • 老朽化した自宅の建て替え
  • 必要な部分のリフォーム
  • 子供世帯との同居や近居
後悔のない住み替えを実現するためには、「今の住まいのどこに問題を抱えているのか?」について、明らかにする必要があります。どうすれば問題を解決できるのか?という視点で、より良い住み替えについて検討してみてください。

あとは、「住み替え」について早い時期から考えておくことも大事です。

体力的にも経済的にも60代以降だとなかなか大変です…50代のうちから考え住み替え計画を立てていくことをおすすめします。

  • 体力面:引っ越し、それに伴う準備や諸々の変更手続き
  • 資金面:収入が減るため、新居のローン審査、仮住まいの賃貸契約の審査が厳しくなる

こういった理由があるからです。

できれば手元にお金をある程度残しておくこと!

老後に向けての住み替えの場合、年金生活になった時の生活費や、医療費分をある程度残しておいたほうが賢明です。

年金見込額を「ねんきん定期便」でチェックし、老後に生活していく上で年金だけではやっていけない部分の金額分+医療費分を手元に残しておけるのがベストです。

ですので、最後の住み替えだからと、退職金や預金を全て使ってしまわないように注意しましょう!

住み替えを成功させるためのポイント5つ

住み替えを成功させるためには、どうすれば良いのでしょうか?具体的なポイントを5つ挙げるので、ぜひ参考にしてみてください。

1.旧居をできるだけ高く売る

住み替え時の最大の懸念材料となる、住宅ローン。失敗リスクを下げるためには、旧居をでき限り高値で売却することが大切です。

  • 信頼できる不動産会社をパートナーに選ぶ
  • 不動産一括見積サイトを活用する
  • 売却活動は積極的に行う

これらの点を意識してみてください。

不動産一括見積サイトでは、一度の入力で複数の不動産会社に見積もり依頼が可能です。高く売るためには、査定額が重要なポイントの一つとなります。信頼できる不動産会社を見つけるためにも、ぜひ複数の会社とコンタクトを取ってください。

2.スケジュールは余裕を持って組む

住み替え時には、余裕を持ってスケジュールを組むことも大切なポイントです。余裕がないと、納得できない価格でも、売却せざるを得なくなってしまいます。

旧居売却には、一般的に4~6ヶ月程度の時間がかかるものです。住み替えの場合、スケジュールに余裕を持って物事を進めていくことで、費用の節約にもつながります。

3.お金関係の手続きはなるべく早めに!

旧居売却についても、新居購入についても、お金関係の手続きはなるべく早めに進めておきましょう。住み替えが成功するかどうかの、鍵となるポイントだからです。

  • 旧居売却のための不動産一括査定
  • 新居購入のための住宅ローンの事前審査
  • 住み替えローンを利用した場合の返済シミュレーション

売れる価格や借りられる金額がはっきりすれば、住み替えプランの全貌もつかみやすくなるでしょう。

4.住み替え先の見極めは慎重に

住み替えで失敗しないためには、新居の選定も重要なポイントです。

  • 新築一戸建て
  • 新築マンション 
  • 中古一戸建て
  • 中古マンション
  • 賃貸住宅

どの形態の住まいにも、メリット・デメリットが存在しています。旧居で抱えていた問題を、解決できる新居を選ぶことで、満足度も高まるはるです。

「新築物件が高額でローンが厳しい…」という場合には、中古の戸建てやマンションを検討してみるのもおすすめです。価格が抑えやすいため、立地や間取りなど、その他の条件にもこだわりやすくなるでしょう。

5.確定申告を忘れない

住まいを売却した場合も購入した場合も、忘れてはいけないのが確定申告です。取引を行った翌年の、決められた期間内に手続きしましょう。

自宅を売却した場合、以下の条件に当てはまっていれば、確定申告は不要です。

  • 譲渡損失が発生している
  • 譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を適用しない

これ以外の場合は、基本的に確定申告が必要ですから、忘れないようにしましょう。

新たな住まいを購入した場合は、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)を適用するために、確定申告が必要です。こちらも忘れないよう、準備を整えておきましょう。

住み替え時に活用したい減税措置・特例3つ

大きなお金が動く住み替え時だからこそ、節約できるところは、しっかりと節約しておきましょう。納める税金額を減らせる措置や特例について紹介します。

3000万円特別控除

不動産売却時に儲け(譲与所得)が発生した場合に、最高3,000万円までであれば、非課税にできるという制度です。

こちらの特別控除を受けるための条件は、以下の通りです。

  • 居住中、もしくは退去後3年経過した年の12月31日までの不動産売却であること
  • 家屋取り壊し後に、土地活用で利益を得ていないこと
  • 取引の前々年までに、3000万円控除・買い替え特例・譲渡損失の損益通算及び繰り越し控除の特例を受けていないこと
  • 売り手と買い手の間に特別な関係性がないこと(親子や夫婦等)

譲与所得税がゼロになるのは、非常に嬉しいポイントです。自身の状況に応じて、買い替え特例と、どちらが有利になるのか判断してみてください。

買い替え特例

不動産の買い替えを行う場合に、旧居売却で発生した譲与所得税を、次回分まで繰り延べできる特例です。

3000万円特別控除とは違って、こちらの場合は税金がゼロになるわけではありません。あくまで先延ばしではありますが、3,000万円という上限価格がない点がメリットと言えるでしょう。

  • 旧居で10年以上生活していたこと
  • 物件の所有期間が10年以上であること(※売却年の1月1日時点)
  • 旧居売却価格が1億円以下であること
  • 新規購入物件の床面積が50㎡、土地面積が500㎡以下であること
  • (中古住宅の場合)築25年以内、もしくは一定の耐震基準を満たしていること

譲与所得が3,000万円以上で、こちらの条件に当てはまる場合は、買い替え特例の利用を検討してみてください。

マイホームの譲渡損失の損益通算及び繰り越し控除の特例

こちらは、旧居売却によって損をした場合に使える特例です。不動産取引で発生した譲渡損失を、他の所得と相殺できます。納める税金額を減らせるでしょう。

損失額によっては、1年で控除しきれないケースも考えられます。この場合、売却した翌年から3年間、繰越控除が可能です。

住み替えの流れを知って満足いく住まいを見つけよう

不動産売却・不動産購入の両方を、同時に進めていくのが住み替えの特徴です。

売り先行と買い先行、どちらを選択するのかによって、流れは大きく変わってきます。まずはどちらの方法で進めていくのか、検討してみてください。

住み替えを成功させるためには、

  • 旧居がいくらで売れるのか?
  • 住宅ローンを完済できるのか?
  • 資金計画はどうするのか?

これらのポイントを、できるだけ早く明らかにする必要があるでしょう。

住み替えローンの活用も検討しつつ、信頼できる不動産会社と、満足できる住み替えを目指してみてください。